何度も流産を繰り返したり、状態の良い胚を
体外受精で移植してもなかなか着床できなか
ったりすることがあり、不妊治療が長期化す
る一因ですが、このような状態を引き起こす
原因として、慢性子宮内膜炎というものが最
近クローズアップされています。

慢性子宮内膜炎とは、子宮内膜で血液中のあ
る細胞が免疫的に異常を起こして、子宮内膜
で炎症を起こしている状態のことを言います。

これをもう少しかみ砕いて言いますと、子宮
内膜が受精卵を異物と捉えてしまって、本来
着床して、生命体として育んでいくはずのも
のに、アレルギー反応を起こして攻撃してし
まう状態と言えます。

悲しむべき反応といえますが、これは一般女
性で0.8～19％、不妊女性で30～35％、習慣
的に流産を繰り返す方や着床不全を繰り返す
方では30～60％も慢性子宮内膜炎を起こして
いるという報告もあります。

慢性子宮内膜炎はその状態が起きても、不正
出血や生理痛、性交痛、おりもの等の自覚症
状がないため、炎症の発症がまだ詳細に分か
っていないのですが、原因の一つに細菌感染
が考えられています。

これらを踏まえて、慢性子宮内膜炎を起こし
易いかそうでないのかを検査する方法として
慢性子宮内膜検査(ALICE検査)、子宮内膜細
菌叢検査(EMMA検査)、反復着床不成功検査
(ERA検査)など、子宮内の状態を探る検査を
行う産婦人科も徐々に出てきました。

これらの子宮内の検査は、月経周期やポリー
プ、筋腫などに影響されるため検査結果に限
界があり、そもそも細菌感染だけを原因とす
る解釈にも無理があるため、子宮内膜上で起
こるアレルギーとすると、粘膜上での細菌活
動や血液動態、冷えの問題など東洋医学的な
見地や、糖鎖など細胞認識の問題などを同時
に土俵に上げて考える必要が出てきます。

妊娠しやすい身体作りの一環として、アレル
ギーを根本的に起こしにくくする事や、冷え
やむくみを是正すること、生理痛を軽くする
こと、生理が順調に来るようにすることなど
従来から言われてきたことを愚直に治してい
くことが慢性子宮内膜炎に対する単刀直入な
解決策なのかもしれないなとも考えられます。